CG制作の基礎知識

CG制作の前にモニタの色調整を行います。この色調整を怠るといつまでたっても印刷物とモニタの色味が近づきません。
毎回、印刷の仕上がりがモニタ上の色味が違うという人は、参考にしてください。また、以下の内容を読んで「そんな事までする必要があるのか」と思った方は、今すぐ書店へ走って「モニタの色調整」について詳しく掲載されている書籍を購入し、実行してください。
あらかじめお断りしておきますが、ここに掲載されている方法は私なりにやっている方法であり、詳細を全て網羅できておりません。従って、より詳しくモニタの色調整について知りたい方は、専門書を購入して実行してください。

モニタの色調整
モニタの色調整には、ハードウェア的な条件が必要なので、条件に合わない機種では調整ができません。最低限以下の調整を行って下さい。
またモニタを安定させる為、最低でも電源を入れてから1時間以上おいて調整してください。また、デスクトップパターンはグレーにしておきます。
- モニタの色温度調整
  denimのモニタは全て色温度が5500ケルビン（5500度K）に統一されています。これは商品撮影スタジオでの経験を元にしています。商品撮影で重要なのはフィルムテストと呼ばれる作業で、カラーチャートやグレースケールなどを複写して現像し、色の具合をみるテストです。
  フィルムには「乳剤番号」がついており、乳剤番号の違うそれぞれのフィルムは、色特性も異なります。その中でどのフィルムの調子が良いかを判断するために、フィルムテストを行いますがこのテストの時に色温度を5500ケルビンで行っていました。この数値は太陽光の数値とは異なりますが、テストの結果、最も安定した数値であるというある意味で「標準値」でした。
  その事がきっかけで、モニタの色温度は5500ケルビンで統一しています。色温度調整をしていないモニタは青っぽい白に見えていますから、一度印刷用のアート紙を並べてみると良いでしょう。従ってここでは色温度を5500ケルビンとして解説します。
- 環境光の色温度
  例えばカラープリントの原稿をベースにデータの色味を調整しようとする場合、原稿を見る環境光の色温度にも気をつけなければいけません。モニタの近くに窓があり、太陽光が直接窓から入っているときと日陰になった時の色温度は違います。
  一番良い方法は、モニタ回りの色温度も調整してしまう事です。厳密に調べるためには色温度計が必要です。そして常に一定の色温度が得られる光源も必要です。この環境光の均一的な調整方法については現在試行錯誤中なので、決定的な方法（光源）を発見し次第解説します。
- 黒の調整
  モニタには、電源を入れても「黒い部分」があります。黒を調整するときにはこの部分を使用します。
  まずフォトショップを起動し、新規ファイルを作成します。続いてバケツツールを選択して、新規ファイルにK100を流し込みます。このとき定規は非表示にしておきます。続いて今作成したウィンドウをドラッグして、モニタ端の黒い部分に隙間が空かないように移動して下さい。
  ここで、モニタ端の黒と新規ファイルの黒がほぼ同じになるまでブライトネスで調整します。この時、モニタに室内光や外光の反射が入らないように注意します。
- 白の調整
  次に白の調整を行います。さきほど作成したファイルに白を流し込んでおきます。次に印刷で使用する用紙を用意し、印刷物を見るときと同じ様な環境で作成した白いファイルと、印刷用紙を見比べてコントラストを調整し同じ様な白さになるようにします。
  このとき、印刷用紙の裏がモニタの光で透けないように同じ用紙を重ねても良いでしょう。
- ガンマの調整
  最後にグレーの調整をします。グレーを調整するためには、撮影用などで使われている「グレー板」が「グレースケール」を参考にします。グレースケールは、青かぶりや赤かぶりなどを見るときに有効です。最近では、フォトショップ用の書籍などにも添付されているケースもあるのでよく探してみて下さい。
  グレーはガンマを使って調整できます。ガンマをコントロールパネルより開きくとガンマウィンドウの下にグラデーションが表示されています。このグレースケールをみて赤みや青みのかぶりをチェックします。まずガンマ補正は1.8に設定し、ガンマ値の微調整スライダを動かしてガンマのオビパターンが均一に見えるように調整してください。オビパターンを見るときは目を細めたり、遠目に見るなどして下さい。
  続いてその下にあるカラーのチェックをオンにして、下のグレーグラデーションが参考となるグレースケールに近づくように、色かぶりを調整します。カラーで調整できるのは中間部分なので、同様の手順で黒・白も調整すると良いでしょう。
  この調整をすると、上のガンマのオビパターンが影響を受けるので、最後にガンマ値の微調整スライダでもう一度オビパターンの調整を行います。調整できたらウィンドウ下の保存で、ガンマファイルを作成しておきます。日付などを入れておくと良いでしょう。
フォトショップの設定
- 環境設定
  ガンマの設定ができたら、フォトショップを起動します。ファイル-カラー設定-モニタを選択して、モニタ設定を行います。
  モニタから使用しているモニタを選択します。項目に自分が使用しているモニタがなければ、初期設定値にしておきます。続いてガンマを1.80に設定し、白色点に希望のケルビン数値を設定します。5000もしくは5500を設定しておきます。
  RGB色度座標には、自分の使用しているモニタのブラウン管がどこのメーカーかを項目の中から選びます。わからない時はメーカーに確認してください。最後に環境光は、参考にしたスケールなどがモニタと比べてどうか、という設定です。見た目で同じにしているので、通常を選択しておきます。

以上の点に注意してモニタの色調整をしてください。なお、繰り返しになりますがより詳しく知りたい方は専門書をご覧になり、より的確な調整をしてください。また、カラーキャリブレーターなどを使用して調整する方法もあります。

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ポジ出力

データを作成する前に、完成した画像をどのように出力するかにより作成方法が変わる事を覚えておきましょう。例えばA4フルの画像をポジ出力する場合には、フィルムレコーダー（4×5）の4Kで出力します。4Kというのはピクセル数にして約4096×3072です。
このピクセル数を350dpi相当に計算するとほぼA4と同程度のサイズになります。この4Kで出力した4×5ポジは、B4サイズくらいまでなら透過原稿として使用できますが、B2となると話は別です。
B2くらいで使用する場合は8Kにすると良いでしょう。8Kのピクセル数は約8192×6144となります。

4×5ポジ出力の注意
- 4Kの場合は4096×3072
- 8Kの場合は8192×6144
- 保存形式はPhotoShop形式
- RGBモードで作成する

以上の点に注意して、ポジ出力までを行ってみましょう。なお、ポジ出力はフィルム現像という工程を含んでいるため、プロラボと提携しているケースがほとんどなので、仕上がり時間がプロラボに影響されます。ポジ出力は余裕をもって行い、できれば一度テストをしてから本番用を作成すると良いでしょう。

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イラストレーターとの連携

イラストレーターはほとんどのグラフィックソフトと連携が可能です。フォトショップ・ペインター・ｓｈａｄｅなどと連携させるために必ずＥＰＳ保存を心がけましょう。またペインターから読み込む時はダイレクトではなく一度フォトショップでイラストレーターファイルを保存しなおしてから読み込むと希望の色味が出せます。

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レインボーでの確認

作成したCGは一度レインボーなどで色味をチェックします。レインボーではＣＭＹＫデータしか出力できない為、作成した画像データは必ずＣＭＹＫ変換します。最終的に印刷用のデータを作成するときは以下の手順を心掛けておくと良いでしょう。

スキャニングする時はＣＭＹＫで
画像処理する時はＲＧＢで
レインボーの解像度は300dpi

元になる画像がポジやプリントの場合、必ずＣＭＹＫでスキャニングしておきます。画像処理に入る前に元画像の色味を調整するためです。いいかげんな色味のまま画像処理を開始すると後で「色味が違う」という事になります。画像処理する時はＲＧＢで行ったほうが制約がないのでＣＭＹＫ画像をＲＧＢに変換してから画像処理します。厳密にいうとこの変換だけで画像が劣化しますが、それも踏まえた上で高めの解像度でスキャニングしておく事をおすすめします。また、レインボーは解像度が300dpiなので、出力するときには300dpiに変換して出力します。レインボーは出力センターやハードウェアにより色味が違うので、事前にチェックしておきましょう。またあくまでも確認用なので間違っても印刷と同様の色味にならない事を頭においておきましょう。

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簡易校正出力

制作物を4版のフィルムで渡す時はフィルム出力を行いますが、最低でも簡易校正出力をしておきます。これがないと印刷所で印刷ができません。できませんと言うのはあくまでも「参考になる色味がわからないから印刷上がりが不安」という意味で、工程がストップしてしまう訳ではありません。もちろんこの簡易校正も用紙がやや青かったり黄色かったりで完全な校正紙にはなりません。一番確実なのは本紙校正ですが、これも校正紙を刷るインクの濃度などが微妙に違うため注意が必要です。

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デジタル入稿

作成したデータをそのまま印刷所に渡すことをデジタル入稿と言い制作側はとても楽ですが、この方法に最もトラブルが多いのも事実です。以下に起きやすいトラブルを挙げておきます。

フォントがない
トンボが4Ｃになっていない
TTフォントがアウトライン化されていない
リンク画像がない
データが開かない
オーバープリントの指定がない
特色を出力するための処理がしていない
画像がＣＭＹＫになっていない
仕様書がない

フォントがないトラブルは印刷所や製版所といったいわゆる「データを出力する側」との打ち合わせにより回避できます。使えるフォント・使えないフォントは事前に確認するのが当たり前と考えて下さい。また英文フォントは「ＴＹＰＥ１形式」であれば、データを渡す際に一緒につけて渡します。日本語フォントはプリンターフォントがないと出力できないので注意してください。
トンボは必ず４Ｃの設定をします。ＴＴフォントは完成前に全てアウトライン化することを常に心掛けましょう。またデータが開かないトラブルに関してはほとんどがメディアによるトラブルと考えて下さい。ＭＯなどは必ずノートンなどでチェックしてから渡します。またＭＯなどにコピーした時点でＭＯのデータが開くかどうかも必ずチェックします。
特色は必ず4Ｃトンボの上にのせて設定し、ノックダウンとオーバープリントをよくチェックしてください。特色がずれているとあまり見栄えがよくないです。従って特色ベタ部分はノックダウン（抜き合わせ）にしてベタ部分の外側に細い線の設定（0.25くらい）をし、この線をオーバープリントすると「ずれ」のない仕上がりを得ることができます。
最後に仕様書ですが、これは指定のものがあればそれに記入し、なければ手書きでもいいので「システムヴァージョン・出力ソフトとヴァージョン・使用フォント」くらいは最低でも記入しておきます。なんの仕様書もなくＭＯを渡す人がよくいますが、はっきりいって最低です。

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